Story
有史以前、オスティナ大陸には人間とは異なる種のヒトが生息していた。
彼等は一対の翼を背に持ち、彼等の歌は、旱魃の地に雨をもたらし、荒廃した大地に緑を芽吹かせた。
人間から奇跡を具現する者―ディエス―として徐々に崇拝されるようになった彼等は、
しかし人間が文明に手を染めはじめた頃、歴史の表舞台から忽然と姿を消した。
神話の伝承者達は、現在の世界をこう呼ぶ。
「ディエス不在の時代」と。
宮廷の奥深く、選ばれた者しか立ち入る事の許されない神殿の広間に、少女が横たえられていた。
少女の周りは、儀式で用いられるであろう祭具。傍らには魔術師の風貌の眼鏡の男。
その冷たい眼差しは少女を見下ろしながらも、淡々と召還の儀式を続けていく。
そして最後の呪文を唱え終わった刹那、神父姿の男が駆け込んできた。
「アリアに何をしている! ・・・これは!? 」
「神父に立ち合って頂けるとは全くの僥倖。共に”神(ディエス)”を迎えようじゃありませんか」
周囲は神々しい光に包まれ、そして魔術師と神父の眼前に現れたのは・・・翼を持つ、銀髪の少女だった。